『本当の自分を見失わないためには』

本や日常など

Youtubeに上げた動画のテキスト版です

 

本当の自分って何だと思う?

どうした?急に

今日少し思うところがあって・・・

そういう時にふと今の自分のままでいいのか

変わっていくべきかを考えてたんだ

ほーん

興味ない感じ?

いや、ニンゲンはそういうことに悩むんだなと思って

そりゃね

まあネコにはわからんだろうね

失敬な!それくらいわからあ

すまん

仕方ない

愚かなるニンゲンに今日は特別に教えようぞ!

助かる

本当の自分とは、この自分のことだよ!

今、モノを見てるオレ!音を聞いているオレ!

お腹すいたと思うオレ!ケーキを食べるオレ!

こういうことをするオレは本当のオレだよ!

でもそれって「本当の」って必要か?

全部「ただの」自分「ただの」オレでよくないか?

「ただの」オレが「本当の」オレだよ!

オレにとって自分とは、この「ただの」自分が「本当の」自分なんだ

この目に見える自分の他に、「本当の」自分なんてないね

なるほど

ところで関係ないけど買ってたケーキ二つあったけど

二つともなくなってたんだけど

さ、さあ?知らないなあ
誰かが食べたんじゃない

ここにいるのは
オレとネコだけだけどなあ

オレを疑うのか?!
疑われるなんてオレってかわいそー

口元に何かついてんぞ

やべ

これはつい手が勝手に口が勝手に

つまりそれはネコがしたことではないってこと?

そ、そうだよ

でもさっきケーキを食べたりするオレは
本当のオレとか言ってなかった?

や、やっぱりさっきのは

本当のオレがしたんじゃないな

ということは「ただの」自分と

「本当の」自分は違うということ?

そうじゃないよ!

「ただの」自分は「本当の」オレだよ!

たださっきはたまたま「本当の」オレじゃなかったんだ

「本当の」オレじゃなかったの?

そう!

それって言い訳じゃなくて?

ち、違うし!

そーか

そういえばネコのその考えに似たことを他の人も言っていたな

たしかユング心理学で「影(シャドウ)」と言うみたい

影?

そう

普段はこの自分が行動の主体なんだけど、

つい無意識にしてしまった時の行動の主体は

この自分ではなく別の何かなんだ

別の何か?

それが「もう一人の自分」「影」

その人の生き方に合わないものは、
無意識に押し込まれて存在している

押し込まれてその人に生きられなかったものが
その人の半身、影

そーか

じゃーつい食べてしまったのはオレじゃなくて

オレの影だったのか!オレは悪くない。安心した!

安心するない

影を自分自身と区別するのは大事だけど

それをそのままにしたままなら、また影が
いつか自分と入れ替わって主張し出すかもしれない

ど、どうしたらいい?

難しいけど自分に合わないと思って捨ててきたものを
それも自分の一部だと認めて受け入れることが必要みたい

ユングはそれを“自分自身に対して一途に正直であること”
とも言っている

影、受け入れたぜ!

ん?

ケーキを二つ食べたのはオレが食べたかったからだ!
だから食べた!

開き直ったな

今度もまたお前のケーキを食べる!
お前のケーキはオレのもの!オレのケーキはオレのもの!

もう絶交だよネコジャイアン

チョ、マテヨ
悪かったケーキは一つ残しておくから!

うーん、影を認めたら人間関係が壊れかけたぞ
何で?

それは自分に素直になりすぎて

ペルソナを否定したからかな

ペルソナ?

ペルソナは元々は仮面の意味で
社会に適応して演じられる役割のことらしい

ネコも家と外や相手との距離感によって話し方や態度は変わるだろ?

同じじゃい!

そーか

ネコは知らんけど人間社会は一人一人が
与えられた役割を演じることを必要としているんだ

ペルソナを演じないと家や学校、会社などの
環境で周囲と協調しないことになりかねない

さっきのネコジャイアンみたいにどこでも自分勝手な人は
やっぱり人間関係は悪化しやすいんじゃないかな

うーん、めんどいな
もうずっと仮面かぶるほうが良いんじゃね?

ところがどっこい

ん?

ペルソナは社会に必要なものだけど
あくまでそれは役割であって「本当の」自分ではなく

自分と自分の役割を区別しないと人は
「本当の」自分を見失ってしまうらしい

うーん、ペルソナを脱いだら人間関係が悪化するし、
ペルソナをずっとかぶったら「本当の」自分じゃなくなる?
どうすりゃいいんじゃ

まずは自分と自分のペルソナは違うと区別してから

今まで無意識に押し込んできたペルソナに合わなかったものを
自覚できれば自分の意識できるところが増えるみたい

そしたらペルソナと影とのバランスも取れるようになり
社会と「本当の」自分とのバランスも取れるように
なるんじゃないかな

バランスなんて言うけど難しいなあ。

何かヒントか参考になるのある?

個人的に参考になると思うのは
人がどのように成長していったかわかるものかな

オレは思春期に「十二国記」というアニメにもなった
小説をよく読んでいて主人公がどのようにして成長
していったかよく覚えているから

ためしにそれを参考にしてみる?

十二国記?

最初のシリーズ「月の影 影の海」の主人公は高校生だった陽子
ある日突然異世界に連れ去られて 

そこで妖魔にたびたび襲われて出会った人たちには裏切られて
人間不信になって力尽きて倒れるまでが前半

ヒ、ヒドイ

後半は一気に物語が動き出して半獣の楽俊に助けられた陽子は
旅を通じて成長し自分の運命に迷いながらも決意をしていく

陽子が成長していく過程に自分のペルソナと影との
バランスを取るヒントがあるとオレは思う

というのも元々陽子自身が良すぎるペルソナを作った
ために色々な問題を抱え込んでいたから

どゆこと?

陽子は家でも学校でも真面目で優等生な良い子だった。

親や友達、先生からも評判はよかったんだ

何も問題なくない?

問題は、陽子が誰にでも気に入られるように他人の都合に合わせて
生きていたこと。それで築いた人間関係はとても脆いものだった

親にも友達にも先生にとっても都合の良いだけの存在。信じていた人たち
に裏切られるのは異世界でも現実でも同じだった

つれェ・・・

良すぎるペルソナを作ると無意識にいる存在、影などに無抵抗になるから

陽子が今まで他人のために捨ててきた「もう一人の自分」が陽子を襲うようになる。それを端的に表しているのが陽子の夢や蒼猿という存在

特に十二国の世界に着いた時に見た夢は陽子が今まで抑え込んでいた怒りを表し

青猿という存在は陽子が今まで考えないようにしてきた不安を表している

陽子はこれらを受け入れたり抵抗したりして少しずつ「本当の」自分を獲得していくんだ

そうして「本当の」自分を獲得した陽子はかつての自分を振り返ってこう言っている。

今まで他人の顔色を窺ったり機嫌を取ったりしていたのは相手と対立したり叱られるのが怖かったから

しかしその原因は自己を探して他者と張り合って生きることを避けたことにあったとしている

また成長した証拠として夢の中の表現である“身体の中の潮騒”や“赤い獣”といった表現がそれ以降出てこなくなる

個人的には陽子の問題は「本当は」人を信じたいのにそれが出来なかったということにもあるんじゃないかとも思っている

「本当の」陽子は人を信じたいといつも願っていた。でも裏切られるのを恐れて誰に対しても「いい子」というペルソナを作ってしまった

陽子の成長を端的に表すシーンの台詞に“自分が人を信じることと人が自分を裏切ることは何の関係もない”というのがあるんだけど

ここに至って陽子は他人の期待よりも自分の意志を重視して自分の言動に責任を負えるようになったことを示している

ところでネコ起きてる?

起きてるよ!

「本当の」自分を知るヒントになるかと思って十二国記を振り返ってみたけど

やっぱり難しいなあ

これでもなるべくユングの心理学用語を使わないで

わかりやすくいったつもりだけど

伝え方が下手でスマン
でもほんの少しはそれは「本当の」自分を知ることの本来的な難しさにもあるんじゃないかな

「本当の」自分に至る道はそれぞれが自分なりのやり方で地道に進んで手に入れる必要があると思うけど

どのようなペルソナを作るかどのくらいまで影を出せるかを自分でコントロールすれば「本当の」自分を見失うことを防げるから

自分のペルソナと影とうまく付き合っていくことで「本当の」自分に近づきやすくなるんじゃないかな

ペルソナと影って
わるいものじゃないんだね?

個人についてはそうみたい

ほーん

まあオレは今のオレに満足しているから
これ以上「本当の」オレに近づく必要はないかなー

そーか
それはそーと今度はネコが食べた分のケーキ買ってね

え?

ケーキを食べたのはまだ分離できてない影だったもんね
でも今のネコなら影のしたことも自分のしたことだと自覚
できてるんじゃない?

お、おぅ・・・

当然だよHAHAHA・・・

クッこんなに買いに行きたいのにこの腹痛では!
これでは今度も行けぬ!ぐぬぬぬこの腹痛め~!

本当の自分を見失わないためには

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